台湾の個性的なカフェ

 

File.No1「レトロ台湾コンセプトの香蕉新楽園(台中)」

 

         

 台中は言わずと知れた茶芸館の町。市内には茶芸館や喫茶店、コーヒーショップなどがとても多く、個性的なところばかり。台中は現在、人口一〇〇万の規模を誇っていますが、それでも、あまりにも喫茶店の数が多く、実際にその競争は熾烈なようです。今回は片倉がもっとも気に入っているお店をご紹介します。

 今回、ご紹介するのは、台中でもっとも個性的な喫茶レストランです。「台湾香蕉新楽園人文生活館」というお店で、通称「香蕉新楽園」。ここはかつての風景を室内に再現したというテーマレストランです。

 私はかつて、日本航空ファーストクラス機内誌「AGORA」に、オープン間もない頃のこのお店を紹介したことがあるのですが、刊行後、多くのお問い合わせをいただきました。オーナーによれば、日本人も在住者を中心に、よく姿を見かけるといいます。地元の人なら、このお店を知らない人はいないのではないでしょうか。なんと、昨年だけで25万もの人がここを訪れたと言われています。

オーナーの呉さんは自他ともに認める骨董品収集家。私がたまたま歴史に興味を持っているということもあって、会えばいつも話しが盛り上がってしまいます。日本時代や戦後間もない頃のグッズを18年にも渡って集めてきたという呉さん。先日の訪問時にも閉店の午前2時までたっぷりつきあってくれました。

ここのコンセプトとなっているのは、基本的には今から六〇年ほど前の風景であると言います。呉さんによれば、変わりゆく台中の街並みを前に、かつての姿を忘れたくないという願いがこの店を出すきっかけとなったのだそうです。そして、構想から3年あまりを経てオープンしたのが2001年秋。個性派揃いの喫茶店やレストランがひしめき合う台中でも、とりわけ大きな注目を集めてのオープンでした。

店構えは体育館のように大きく、店内はまさに戦前の雰囲気。まるでタイムトリップをしてしまったかのような錯覚に陥ります。天井が高いためにすっきりとした印象を受けますが、屋内には理髪店や洋品店、雑貨屋、写真館、歯科診療室などが復元されており、立派な街並みを形成しています。いずれも瀟洒な看板建築で、古写真や絵ハガキなどをもとに、専属の設計士が忠実に再現していったものなのだそうです。

客席はこれらの各店舗内にあります。インテリアとなっている備品の一つ一つにもこだわりがあるのでお見逃しなく。店先に貼られたポスターや軒先に立てかけられた自転車、棚にさり気なく置かれた昔ながらのカキ冰機など、見ているだけで懐かしさがこみ上げてきます。

食事は台湾料理をメインとしており、家庭料理風の素朴な味付けが評判を呼んでいます。いずれも一品あたり三〇〇台湾ドル前後なので、予算は一人五〇〇台湾ドル程度と考えれば十分です。もちろん、飲み物だけの利用もできます。飲茶の点心類も格別な美味しさでした。

 台中駅からもそれほど遠くはないので、台中へ行かれる際には、どうか、お見逃しなく。建築ファン、歴史ファン、鉄道ファンのいずれをも満たしてくれるとっておきのお店と言えるでしょう。

  

 

DATA
台湾香蕉新楽園人文生活館
台中市雙十路2段111号 04−2231−7890  11:30−翌2:00  無休
アクセス:台中駅から徒歩一五分程度。台中公園を経て、孔子廟の方向へ進んでください。