原住民の集落訪問記
ここはタイヤル族クレサン氏族の人々が住む村で、漢字表記は「武塔」村。タイヤル族の言葉ではブターといいます。
鉄道の武塔駅は集落からやや離れた高台に位置しており駅前には花畑が広がっています。周囲には民家の一軒もなく、聞こえてくるのは小鳥のさえずりばかり。まさに「桃源郷」を名乗るにふさわしい土地です。
「ブター」の名の由来は、ブタナウエさんという祖先の名前に由来しているといいます。この集落は、古くは「キジック」、「コウメウ」などという名で呼ばれており、日本統治時代の記録にも、この2つの名前が記されています。なお、この2つの名前の由来は全く不明なのだそうです。
もともとこの集落は、山深いところにあったのですが、戦後政府の圧力で、山を下り、この土地に定住したのだと言います。現在は、以前の集落があったところを「旧武塔村」と称して、その名前が地図の上に残っているだけになってしまいました。
古い集落は、標高にして1200mを越える深い山に中にあったそうです。 たまたま声をかけたおばあさんによれば、今でも、先祖参りに行くため、2日がかりで、山に入ることがあるといいます。オトコたちは狩に入ることも多く、その道のりには、雨をしのぐための簡単な小屋もいくつか用意してあるのだそうです。
さて、この集落を有名にしたのは戦前作られた映画「サヨンの鐘」でしょう。細かい解説は別の機会に譲りますが、この集落のはずれに、日本人が建てた「愛国乙女サヨン遭難之地」という記念碑が現存しています。