独自の風味を誇る雲南料理を味わう

「雲南料理」をご存じだろうか。日本人の耳にはあまり聞き慣れないこの料理。中華料理の中でも異色の存在として扱われることが多い。台湾では最近、この雲南料理が食通たちの関心を集めている。

雲南地方は広大な中国大陸の奥まった場所に位置している。年中温暖な気候で、雨量も安定していることから、古くから農業が盛んな土地であった。多種多様な野菜が栽培され、この地域ならではの珍味も少なくない。雲南料理もこういった食材や香辛料が決め手となって誕生したものである。

現在、台北市内にはいくつかの雲南料理のレストランがあるが、その中で、もっとも広く知られているのが「人和園」である。二〇〇二年五月に改装を済ませたという店内は、白と黒を基調としたインテリアで、モダンな雰囲気を誇っている。壁や天井には漢字を用いたデザインが施され、チャイナテイストのセンスをさりげなく感じさせている。

このレストランの人気は高く、昼夜を問わず行列ができている。新鮮な野菜をふんだんに用い、ヘルシー感覚とさっぱりとした味わいを実現させているところが人気の秘訣のようだ。実際に味わってみると、酸味をほのかに感じさせる料理が多く、従来の中華料理の概念では捉えられないようなものも多い。時には、和食の風味に近いものまである。

人和園では毎年、スタッフを雲南地方へ派遣し、現地の料理事情を学んでいるという。これは現地における味覚の流行を知り、本場の味を台湾へもたらすことを目的としている。もちろん、その際には雲南特有の食材や香辛料を持ち帰るのだが、常に本質にこだわりながら、新しいものを取り入れ、料理のレベルを高めていく。その意気込みと真摯な姿勢には頭が下がる。

オーナーにおすすめを尋ねてみると、まずは「涼拌茄子」の名が挙がった。これは焼いたナスに唐辛子の風味を添えた和え物で、程良い辛さが印象的な味となっている。また、「涼拌結頭菜」は雲南特産種のカブとトマトの和え物。さっぱりした味わいで日本人に人気が高い一品だ。

さらに、この店の看板料理になっている「過橋麺」を忘れてはならない。この料理は素朴な味わいながらも、雲南独自のもので、他地域には例を見ない。これはその昔、科挙の試験のため、日夜勉学に励む夫に妻が差し入れした麺料理である。川を挟んだ離れで勉学に励む夫に、妻が母屋から橋を渡って運んだので「過橋」の名がついた。スープと麺、具をそれぞれ分け、スープの表面を鶏油で覆うことで、冷めないための工夫が施されている。多いときには昼食時だけで六〇杯も出るという人気の料理だ。コシがある麺とさっぱりとしたスープは、しばらくは忘れることができない独特の風味である。

台湾で楽しむ異色の中華料理。あっさりとした風味が恋しくなった時にはぜひおすすめしたい料理である。

 

ハイセンスな店内              名物「過橋麺」              雲南風あんまん

 

DATA

住所:錦州街16号1F

電話:2536−4459

営業時間:11:30−14:30、17:30−21:00 無休

MRT淡水線雙連駅から徒歩5分