台湾に残る日本時代の建築

陸軍聯誼廳―旧台湾軍司令官公邸

 

ここは植民地・台湾における軍事最高司令官の公邸であった。かつては厳しい警備体制が敷かれ、近寄ることも憚られたというが、現在は1階部分が陸軍聯誼廳と呼ばれるレストランとなっており、外部者でもその門をくぐることができる。本来の用途を考えてみれば、意外なほど開放的な雰囲気をまとっているのに驚かされてしまう。敷地はゆったりとしており、生い茂った緑が手頃な日陰を提供してくれる。レストランは小さいが、この建物に入り、庭園を眺めながら食事を楽しむことができるということ自体が魅力的なことと言えよう。

この建物が完成したのは1907(明治40)年のことであったという。その後、何度かの増改築を重ね、1919(大正8)年から台湾軍司令官の公邸として使用されることとなった。当時の官舎建築によく見られた和洋折衷の造りだが、司令官の公邸としては意外なまでに小振りである。戦後は中華民国陸軍の管理下に入り、引き続き、軍事高官の公邸として使用されてきた。現在も敷地の一部は私有地となっている。現在は改装が施されているため、古めかしさはほとんど感じられないが、台北市はここを史蹟として保存対象としている。

意外にも明るい雰囲気の軍司令官の公邸。1階は外部の人間も利用できるレストラン