首かえ
あるところに一人の学生がいました。書院の中で勉強していますと、人間に化けた鬼の大将が現れて、お前はなぜこんな遅くまで、勉強しているのか、と訊きました。学生が「私はいくら精を出して勉強しても、どうも人より遅れるので困っているところです」と答えますと、鬼の大将は、「では、わしと兄弟の契りを結ぼう。そうしたら、何でも教えてやるぞ」と言いました。そこで二人は兄弟になりました。鬼は学生に勉強の仕方を教えました。それ以来、学生は、前にくらべて何でもすぐ覚えられるようになり、試験にも合格して、立派な高官になりました。
そこで、田舎にいた妻を都へ呼び寄せました。妻はあまり面相がよくないので、その男は気にやんでいましたが、ある時、鬼の大将に相談すると、「なあにそれはわけのないことさ、もうニ、三日すると、ある家の美しい娘が死ぬはずだから、その娘の首と取りかえることにしよう」と言いました。
果たして、それから四日たって、妻は、急に見違えるような美しい顔になりました。一方、死んだ娘の家では、いつの間にか死顔が醜くなったので、驚いて、人を方々に探しにやりました。
さて、その男が、妻の顔が綺麗になったお祝いをしていますと、たまたま首探しの人々がやってきて、たいそう驚き、早速、娘の親を呼び寄せました。けれども娘の親は、他でもない偉いお役人の奥さんのことだから、思いきるとしよう、とあきらめて、何も言わずにそのまま家に帰ってしまいました。
その夜、男が妻の首をよくあらためて見ますと、首を取り替えた後が傷になって残っていました。そこで、急いで衣服に首全部を隠すような高い襟を取りつけることにしました。
女の服の襟が高くなったのはこの時からです。
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